トレイの上にのったカップには、今だ湯気を立てているコーヒーがのっている
はポットなどを片付けるとそのトレイを持ち上げ、足音をたてないように隣の部屋へと向かった
Coffee
コンコンコン
ドアを三度ノックするが、返事がない
「マリアン師匠?入ってもよろしいでしょうか?」
返事はなかったが、躊躇ったのちドアを開いた
まず感じたのはワイン、それもロマネ・コンティの匂いだった。あまりのアルコールの匂いの強さに、一瞬くらりとしたが随分となれたものでその部屋を進んだ
一番奥の窓の下に配置されたベットからは、燃える炎のような長髪が見えており、カーテンから漏れ出した日光を反射していて、とても美しかった
はいつものことながらも感嘆のため息をつくと、磨き込まれたサイドテーブルにトレイを置いた
ベットに横になっている人物に触れないように、ベットの上に膝をつきカーテンを開いて紐でまとめる。外は雲ひとつない晴天で、そのまぶしさに思わず目を細めた
と同時に、うめき声が聞こえる
「・・・か」
「マリアン師匠、お早うございます。コーヒーを持ってきましたので、お飲みになって下さい」
ふわりと笑うと、ベットから降りサイドテーブルのトレイからコーヒーを持ち上げた
クロスは二日酔いなのか、片手で頭を押さえていたが、嬉しさを抑えられないというように微かに揺れるの尻尾を見ていた
「コーヒーは二日酔いにもいいんですよ?」
先程の笑顔を持続させながらカップを手渡すと、クロスは渋々ながらも受け取った
クロスがコーヒーを飲んでいる間に、は床に散らばっていたコートやシャツをたたんでスーツケースの中にしまい込んだ
そして、着替えを取り出す
「列車の時間に遅れてしまうので、それを飲み終わったら着替えて下さいね」
そう言ったがまたもや返事はなく、不審に思って振り向くと
「・・・マリアン師匠、二度寝はやめて下さい」
飲みかけのコーヒーは元の場所に置かれ、本人はまたベットに収まっていた
「(二度寝を起こす方が大変なんですけど・・・)」
一人で起こすには列車の時間を逃してしまうだろう
は先ほどとは違うため息をつくとソファの上に着替えを置き、アレンを呼びに行こうとした
が、しかし
「どこへ行く」
「アレンを呼びにです、がっ!?」
突如として腰の辺りに手を回されたかと思うと、抗議の声を上げるまでもなく布団の中に引きずり込まれてしまった
そして、同時にクロスの顔のアップが視界いっぱいに広がった
もちろん免疫のないは、顔を真っ赤に染めた
「マママ、マリアン師匠!?顔、顔が近、近いです!!」
「うるせぇよ」
そうクロスは一言いうと、真っ赤になったの耳元に口を近づけた
クロスの息がかかり、耳がぴくりと反応し、同時にの顔もさらに赤く染まった
「俺といるときに他の男の名前を呼ぶな」
響くようなアルトの声で囁かれては、どうにも抵抗することもできない
は何か言おうとしたが、口をパクパクさせるばかりで声がでない
それを見たクロスは面白がるように、二ヤリと笑った
「返事はどうした?」
「は、はい・・・っ」
「いい子だ」
クロスはそう言うと、の隣で横になった
「マ、マリアン師匠?その、えと、汽車の時間が・・・、あと修行は・・・」
「お前今日、何時に起きた」
全く関係のない質問に一瞬当惑したが、とりあえず小さく答えた
「3時・・・です」
「お前はアレンと違って出来がいいんだから、アイツほど修行する必要はねぇよ。寝てろ。隈できてんじゃねぇか」
クロスの指がうっすらとできた隈をなぞる
「別に次の汽車でいいだろ?」
優しい声で言われれば、別に汽車などたくさんあるのだからという気分になった
それに加えて、クロスとの時間はいくらあっても惜しいような気がする
別に明日に発ってもいいですよね?
はそう思うと目を閉じた
<あとがき>
璃桜様からのリクエストで、クロスで甘でお送りしました!
ダメだ。私に甘を書かせたら!やっぱりシリアスが一番書きやすい・・・(メインギャグだろ
なんか愛人関係みたいになってるよ!愛弟子のはずだったんです!どうしてなんでしょうね!というか、甘って何ですか!?(聞くな
煮たり焼いたり炙ったりすると不味くなるかもしれませんが、ドウゾ!返品は年中可能ですが、末梢した方がいいかもです・・・
リクエストありがとうございました!これからも*現実逃避*と救いようがない管理人をよろしくお願いします!
雰囲気ぶち壊し(壊す雰囲気なんてないけど)な弟弟子の話
「ー、もうとっくに汽車出ちゃいましたよ?」
ガチャッ
「・・・・・・・・」
パタン
「(ちょ、待て待て待て。今のは幻覚だ!修行の疲れが出たんだ!落ち着いてみればきっと!)」
ガチャッ
「・・・って、師匠!?何に手を出してるんですか!?犯罪ですよ!?人のものに手を出して!!」(そこ!?
「てめぇのじゃねぇよ!そもそも朝からギャーギャーうるせぇんだよ!が起きるだろうが!」
「・・・ん」
(寝ぼけてクロスに抱きつく)
(クロス勝ち誇った笑みを浮かべる)
「〜〜!!!!!」