第0.5夜 プロローグ

 

 

 

 

 

墓の前の少女。響き渡るすすり泣く声。

少女はその墓に毎日通っていた。声をあげて泣くことはなかったが、今夜は声をあげていた。

なんで私をおいて死んじゃったの?

どうして?

いつでも私の味方だと言っていたじゃない。

また私と話してよ。返事をしてよ。

兄様っ・・・・、

ケイをよみがえらせてあげましょうカ?」

少女はビクリと身を震わせた。この時間に墓地に来る人はいないはずだった。

恐る恐る振り返るとそこには、男がいた。

男といっても普通ではない。

でっぷりと突き出た腹、

大きく開いた口、

そこから見える白い歯、

とんがった耳。

だがそんなことは気にならなかった。

「兄様をよみがえらせてくれるって本当!?」

少女はその年齢にしては、かなり冷静で頭が切れたがその言葉を聞いた途端、そのこと以外考えられなくなった。

死した者は決して生き返らないというのに。

そして、少女は

その男の手を取った。

男がどこからともなく取り出した骨のようなものに向かって名前を呼んだ。

すると、兄は帰ってきた。

しかしそれは、少女の兄であって、違った。

・・・。」

ああ、また自分の名前を呼んでくれた。これほどうれしいことはない。

少女は喜んだ、しかし、

!よくもアクマに!!もう逃げられない!!」

少女の兄は男の玩具となった。

そして、アクマとなった少女の兄に命令した。

少女を殺し、その皮を被れ、

と、

すると、少女に手を振り上げた。

少女の頭に激痛が走った。それと同時に、後ろに飛ばされる。

が、すぐに兄のアクマが飛び付き、首に手をかけた。

「よくも、よくもこんな姿に!!」

その手は容赦なく少女の細い首を締める。

少女は頭の激痛と息の苦しさのあまり意識が朦朧としながら呟いた。

「ごめ、なさ・・、ごめんなさいっ・・・!」

涙が零れ落ちた。

すると、少女の左腕が突如輝き、

兄に襲いかかった。

「ぎゃぁぁああぁぁ!!」

アクマとなった兄はみるみるうちに、砂と化していく。

「ゲホッ、ゴホッ、あに、うえっ・・・!」

咳き込みながら必死に兄を呼ぶ少女。

兄をあのような姿にし、そして、手をあげてしまった。

罪悪感と自分の弱さに涙を流す。

・・・。」

自分を呼ぶ兄の声。

伏せていた瞳を上げる。

「すまなかっ・・・た。」

一瞬、大好きだった兄の笑顔が見えた気がした。

そして、

兄は

消えた。

「ああぁぁああぁぁ!!」

自分のことを愛してくれた兄を殺してしまった。

一陣の風が吹き、砂を撒き散らした。

男はすでにいなかった。

 

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<あとがきという名の反省>

ははっ、やっちゃったよ。

何?このドシリアス?あり得ないって。

ちなみに、過去編は4,5話くらいやる予定です。(まだ続くの!?)