第1夜 非常な運命は突然に
京都のとある墓地の少し離れた場所
あるひとつの墓の前で少女が泣いていた
美しいであろう黒髪は乱れ、着ている着物は薄汚れ、その漆黒の瞳は曇り、そこから真珠と見紛うほど美しい涙がただただ流れ出ていた。着物から見える白い肌には、数多くのあざがあった
普通に少女がその墓に眠る人の死を悲しんでいるように見えただろうが、その少女は普通ではなかった
月光に照らされ輝く、
尾と
耳。
少女の着物の裾からは、銀色に輝く尾が、もつれた髪からは耳が突き出していた
その少女の目の前に眠るのは彼女の実の兄
彼女の両親はすでにいなかった。しかし、死んだというわけではない。理由を聞くことは禁じられていた
聞けば叔母は嘆き、叔父には殴られた
その異様な容姿のために叔父夫婦だけではなく、その他の人間にも迫害を受け暴力をふるわれていた
しかし、
その彼女をただひとり
愛した人間がいた
それが彼女の兄
しかし、その兄も流行り病で倒れた。気づくのが遅すぎたのだ
そして、一ヵ月前、死んだ
叔父夫婦は全ては彼女のせいだと前にもまして暴力をふるった。幼い彼女はそれに耐えきれず、家を飛び出し、兄の墓にきた
そして、一週間前、
兄をアクマにし
破壊した
その罪悪感のあまり少女は毎日墓に通い、何時間も泣き続ける
「兄様・・・」
「!!」
声がした
思わず振り向くと、兄によく似た、胸に十のような紋様のついた黒い服を着た男がこちらに走ってきていた
ここらでは見ない顔だ
少女は一度見聞きしたことは絶対に忘れなかった。だからそれは確実だった。しかし、見たことがある
それは、叔母に内緒で両親の写真を求め、部屋を探していた時に写っていた顔
「とう、さま・・・?」
「ああ!良かった!!」
「本当に、父様なの・・・?」
「そうだ!久しぶりだな!」
いきなり抱きしめられ動揺したが、その温かさに安心する
「さあ、早くここから離れなくては」
手をひかれるままに立ち上がり問う
「どうして?」
「お前だけは幸せにしてやりたいからだ」
歩き出した父の背中は大きかった
もしかしたらこのまま父様と暮らせるのかもしれない。もしかしたら兄様が送ってくれたのだろうか?
そんな淡い思いと兄への感謝を胸に父を追いかけ走り出す
だが、
その幸せは
一瞬にすぎなかった
「練!」
静かな満月の夜に響き渡る怒声
その声の主は、写真に写っていたもう一人
母だった
「もう追いつかれたか!!逃げなさい!」
「どうして?あれは母様じゃないの?」
「あいつはお前の母だったが、もう違う!」
父様のその焦り様に問いかける言葉は消える
どうして?
なんで?
もう違うって・・・、
「練!その子を渡しなさい!教団の命令よ!」
「お前は教団の命令なら自分の子供でも捧げるのか!?」
「世界のためよ!今はひとりでもエクソシストが必要なのは知っているでしょう!?」
黒の教団?エクソシスト?聞いたことのない言葉が飛び交う。
「エクソシストの子供だからと言って、エクソシストになれるわけではない!お前も知っているだろう。実験体にされた子供がどんな運命を辿ったかを!」
「その子たちは選ばれなかったからよ!きっとその子なら「確実ではないだろう!」
女の言葉をさえぎる。すると、女の瞳からは涙が流れた
「あなたは変わったわね。前は私だけを愛してくれたのに。今はその子が一番なの?」
「凛、お前も変わった。前はこれほど非情なことはしなかっただろうに」
女は泣き続ける。しかし、父は引き下がらなかった
その時、
私は見た
女の瞳に
狂気が宿るのを
「みんなその子が悪いのよ。そんな子さえいなければ・・・。
「凛・・・?」
「そんな子この場で殺してやる!!」
叫びだした女の手には、煌めく大剣
「ッ!!逃げなさい!!」
は逃げようと身をひるがえしたが、石に躓き転んでしまった
「ッ!!」
もうだめだと思い、これからくる痛みに耐えるため目を堅く閉じた
ザシュゥ
肉の裂ける音が響く
しかし痛みはなかった。おかしいと思い目を開ける。すると目の前には
血にまみれた父
「だい、じょうぶ、か・・・、・・・」
「なんでっ・・・!」
「っ!!」
痛みに耐える父と、なぜ自分をかばったのかと嘆く、そして標的を外し驚愕する凛
父は静かに倒れ、息絶えた
「父様ぁぁああぁぁ!!」
は叫ぶ。しかし、それを見逃す凛ではなかった
凛は叫ぶの腹を殴り、気絶させると肩に担ぎ連れ去った
<あとがきという名の言い訳>
ありえねぇ
なにこの文章力のなさ?もう尊敬したいくらいだよ!!そしてまたまたドシリアス!!
すみません!あとからギャグチックになりますから!!きっと!!(希望)