「マリアン師匠」

「なんだ」

「私、エクソシストになろうと思います」

「はぁ?」

 

 

 

 

第1夜 旅立ち

 

 

 

 

 

「お前、頭がおかしくなったか?」

「そんなことありません」

「自分の言ってること分かってるんだろうな?」

「はい、もちろん」

「さっき言ったことを、もう一度言ってみろ」

「私、エクソシストになろうと思います」

最初の問答から10分程度経っていながら、これと同じようなことを繰り返している

ここは、ヨーロッパ某所の宿屋の一室。赤い長髪の男とこれまた長髪の少女

赤い髪の男は、クロス・マリアン。銀の髪の少女は

には、人が持たないはずの尻尾と狼のような耳が生えていた

クロスは、あきれと、当惑が入り混じったような顔をしてのことを見た

「お前、黒の教団にはもう行きたくないとか言ってたよな」

「言いました。ですけど」

いったん言葉を区切り、息を吸う

「いつまでも、マリアン師匠に甘えていては強くなれないと思うんです」

そこまで言うと、は微笑んだ

クロスは拾ったときのの有様を思い出した

 

 

 

傷がないところはないと思うくらい痛めつけられ、身も心もボロボロになっていた

何の感情も移していない、曇りきった目

世話をし始めてからも、必死で感情を押し隠してはいるものの事務的な動きからは恐怖が感じ取れた

2年ほど経てば感情表現がいくらかできるようになったが、悪夢にうなされていることが度々あった

 

 

 

「(あのときは、コイツは一生笑わねぇんじゃないかと思っていたな)」

それにいつも自分の意見が言えない立場にいたが、自分がやりたいことを言うようになったのも10年近い年月があってのことだ

をエクソシストにするに反対する理由は三つある

一つ目は、黒の教団に行くと正常な状態を維持できない可能性があるため

二つ目は、クロスがただ単にを手放したくないため

三つ目は・・・、

「(コイツ、めちゃくちゃ無防備なんだよなぁ・・・)」

決定的に、男に対して疎いため。黒の教団は女が少なく、男が多い。そんなところに入れれば、あっという間に男どもの餌食になるだろう(クロスと10年近く一緒にいるのに、男に疎いところはスルーで(ぇ

それを思うと、いつもイノセンスを発動しかける(危

だご、教団にエクソシストが足りていないのも事実であり、の意見を尊重させるべきだろう

クロスはため息をつき立ち上がるとの左手を取る。は何事かと左手を見ると、そこには銀色の光を放つ指輪。十字架が刻印されており、その中央にはダイヤらしき宝石が輝いていた

「マリアン師匠!?」

「虫よけだ。つけておけ。絶対はずすなよ。」

「で、でも、こんなに高そうなもの頂けません!」

「祝い。」

訳が分からず首をかしげる。しばらくすると、立ち上がった

「じゃあ、エクソシストになってもいいんですか!?」

「ああ」

「ありがとうございます!マリアン師しょ「クロスだ」えっ?」

「俺のことはクロスと呼べ。呼ばないと、許可は取り消しだ」

「え、えぇ!?そんなのひどいですよ!!呼べるわけ「取り消しでいいのか?」・・・、く、クロ、ス・・・」

顔を真っ赤にしながら言うが可愛く感じてしまい、頭をなでる

「そ、それでは、用意してきます!!」

 

 

降りてきたの手には、少し大きめのトランクひとつ。それに耳を隠すためのフード付きのマント

「これ着ていけ」

「なんでですか?」

本当に大丈夫か。可愛いから狙われるんだよお前は(溺愛

渡されたのは、クロスの昔の服。もう一度部屋に戻ると、着替えてから呟いた

「ラファエル発動」

すると、あたりを光が支配し、鎮まるとそこにいたのは、

ウルフカットの背の高い男

「これくらいで大丈夫ですね」

クロスのいる部屋に戻り、トランクを持ち上げ、クロスを見る

「クラウンはどうする気だ」

「今は外にいるみたいなので、見つけて連れて行きます」

玄関の戸を開くと誰かに肩を掴まれた。振り返ると、クロスがいた

「気をつけろよ」

「はい、いってきます。アレンのことよろしくお願いします」

は微笑んだ

 

 

 

<あとがき>

クロス師匠のはずが、まさかの偽物登場。ルーチェの中ではXANXUSとかぶったような・・・。

指輪はもちろん、左手の薬指です!ちなみに、クロス落ち(の予定)

やぁん、さすがクロスv手が早いわvはいすみません。自分でやっててキモかったです