第6夜 朝食と団服
教団の外から、匂いをたよりに食堂までたどり着きました
教団って、こんなに人がいるんですね・・・。多少、不安があります
部屋から持ってきたフード付きのマントを着ると意を決して、入ろうとした
「?」
「リナリー!おはよう!」
綺麗な黒髪をなびかせて近寄ってきたのは、リナリー・リー。どうやら彼女も朝食をとりに来たようだ
「部屋に行ってもいなかったから、心配したんだから」
「鍛錬に行っていたもので・・・、すみません」
しゅんとなってしまったを見て、リナリーは気にしなくても大丈夫と声をかけた
「朝食に乗じて、に手を出す輩がいないか見るだけだから」(ボソッ)
「リナリー?どうかしました?」
「なんでもないから、気にしないで!それより、なんでフードかぶってるの?」
「耳と尻尾を隠すためですけど・・・」
大抵の人は驚いて、自分のことを避ける。それが嫌だから隠すのだ
といっても、立派な尻尾は揺れるたびに見えてしまうが
「気にするほどでもないぞ」
「そうよ。隠さないほうが可愛いわ!」
リナリーはそう言うと、のマントを取り上げた
「ああ!リナリー返して下さい!!」
「だーめ。それに、遅かれ早かればれちゃうんだから、いいでしょ?」
「それは私もさっき言ったな」
「そ、そうですけど・・・、って、リナリー!?」
リナリーに手を引っ張られて、結局、食堂に入ってしまった。そのあとに続いてミッシェルも入った
平然と歩く少女と半ば隠れるようにして歩く少女
「リ、リナリー・・・」
「どうしたの?」
「やっぱり、マントを返して下さい・・・。視線が痛いんです・・・」
「大丈夫!(に見とれてるだけよ!)」
食堂に入ると、一斉に中の人が振り向いた。どうやら、新しいエクソシストが入ったことが、もう広まっていたようだ
大部分を占める男性はもちろん、数少ない女性もに見とれていた。中には、口をポカンと開けている者もいる
そんな中で、はリナリーに隠れるようにして歩いていた
そんな視線の中をしばらく歩いていると、カウンターについた
「おはようジェリー!」
「あら、リナリーじゃない!一緒に連れてるすっごく可愛らしい子は誰?」
「私の嫁のよ」
「リナリー!?どうしちゃったの!!ちょっと壊れてきてない?私は、リナリーの親友の・です」
「あらまぁ!すっごい美人じゃない!耳もすごくカワイイし!私は料理長のジェリーよ!よろしくvv」
「は、はぁ・・・」
テンションの高さに少々引き気味になりつつも、自己紹介をする。私のことを、何とも思わないのだろうか
「アタシ腕によりをかけて作っちゃうわ!なんでも行ってちょうだい!」
「なんでもいいんですか?」
「モチロンよ!」
満面の笑みで応対してくれるジェリーに安心感を覚える。変な姿なのは見慣れているんでしょうか?
まぁ、そういうことは後にしましょう
私は注文すべく大きく息を吸った。そして
「じゃ・・・サラダとカルボナーラとシチューとグラタンとアクアパッツァとカルパッチョと親子丼と蕎麦と茶碗蒸しと味噌汁とトルティーヤとチキンスープとカレーとチャーハンと
ビビンバ、あとデザートにガトーショコラとショートケーキとミルフィーユとシフォンケーキを1ホール。イチゴタルトを2ホール。それにヨーグルトと桜餅とあんみつと大福と
杏仁豆腐、全部量多めで」
「「・・・」」
「これでも朝食だ」
「「ええ!?」」
食事の多さとこれは朝食だというミッシェルの発言に驚くリナリーとジェリー。くびれまであるこの細見の体のどこに入るのか
本人はどうかしましたか?とでも言うように首をかしげている
「。全部食べられるの?」
「もちろんです!」
驚くほどのことでもないと思うのですが・・・
硬直が解けると、ジェリーが運んで行ってくれると言ったので、空いている席を探しに行った
「はぁ〜、昨日の奴なんだったんさ」
カウンターまで歩きながらラビは呟いた。昨日戦ったやつが元帥の知り合いというのは事実だった。それにアクマではなくエクソシストであることが分かったらしく、入城したと聞いた
「会ったら謝んないとな〜」
けど、あんな紛らわしい恰好してる方が悪いんさ!フードをあそこまで深くかぶってたら誰だって怪しむさ!
そこまで考えたところで、リナリーが誰かを連れていることに気づいた
どうにか、空いているところを見つけ食事が来るのをリナリーとは待っていた
「それにしても。前にも増して美人になったわね!!」
ガッシィと音でも付きそうなくらいに勢いよく手を握ってきたリナリー。なんだか、記憶よりもテンションが高くて怖いです
「リナリーも可愛くなりましたね。うらやましいです」
「そんな!程じゃないわ!本当に嫁に来てくれない!?」
「リナリー!?ねぇ、本当に何があったの!?私がいない間に何が!!」
「のことを考えて、あんなことやこんなことを妄想してただけよ」
「どんなこと!?絶対それが原因「ストライクッvv」いったぁぁあぁぁあ!!??」
突然、受けた衝撃に私の意識は飛びそうになった。昨日折れたところ、もう治ったと思ってたんですか!?ピンポイントできましたよ!!
多少涙目になりながら、振り向くとそこには昨日、私の骨を折った赤い髪の男が私の腰に抱きついていた。この後におよんで嫌がらせですか
「新人さん?オレ、ラビって言うんさ!!これからよろしく―結婚を前提に!!」
「へ?」
今、なんて言いましたこの人。教団に来ると、頭が湧いてしまうんですか(ぇ
「それは無理よ」
ガシッ
ズドォン!!
「がふぅ!!」
「リナリィィィイイィィイ!?」
ラビの一言に思考回路に異常をきたしたリナリーがあろうことか、アルページュを掴んで投球。アルページュもフルスロットルで襲いかかったので、ラビの命は風前の灯で。
「あら、私ったら。手が滑っちゃってvv」
「今のあきらかにわざとじゃありませんでした!?」
「それは気のせいよ、」
ガブリエルをラビの頭にかざしながら、リナリーにつっこむものの。恐怖であまりしゃべれません。会えない間に何があったか、非常に気になります
そうこうしている間に、食事が運ばれてきて、完治したラビを天使的悪魔・リナリーの魔の手が届かない所に移動させた
「そういえば団服ができたって!」
「団服って、クロスやリナリーが着ているものですよね?」
「ええ。化学班の皆が私たちに合わせたものを作ってくれるの!」
にこにこと笑いながら言うリナリーに先ほどの狂戦士ぶりは全く感じられない。さっきのは幻覚だったと思いたいです
化学班の部屋のドアを開けると、コムイが迎えてくれた
「ちゃーんvv」
「ええ!?」
違った。襲いかかってきた。ケガ直ってないの無視ですか
ずきずきと痛みはじめたところを軽くさする。ガブリエルかミカエルで治せたらいいのに・・・
しかし、自分の傷には全く効かないのだ
「コムイ、団服ができたって聞いたんですけど。っていうか、いい加減離してください!」
「ええ〜、いいじゃないか。僕とちゃんの仲」
ズドォン!!
ドサッ
「アルゥゥゥウウゥゥウウ!?」
違います。○ルフォンス・○ルリックじゃありません。後ろで黒オーラを発しているリナ嬢の代わりにアルページュがコムイに制裁を加えました
地面に沈むコムイ。リナリーは黒く笑っています。貴方の兄じゃないんですか
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。いっつもこんな感じだからな室長は」
リーバー・ウェンハム。昨日、シンクロ率を計った時についてきてくれた人だ。確か化学班の班長だったはず。班長にも見捨てられるとは、なんて人望のない室長なんですかね
なかば呆れた顔でコムイを見ていると、ミッシェルがコムイをつついていた
「襲っちゃだめですよ」
「分かってる」
すっと離れると、の隣に座った。ミッシェルのことを見ていると、突然ぐいっと黒いものを押し付けられた
「?」
「団服だ」
綺麗にたたまれていた服を、広げてみると、それはリナリーと同じようなミニスカートの団服
「リーバー班長、私、これ着れません」
「!私と同じ格好するのが嫌?」
「いえ、そういうことじゃないんですけど」
足が出る服なんて着れない。私の右足は義足だ。これも、エクソシストを作る実験で咎落ちになりかけたため
右足に触れる
「右足がどうかしたのかい?」
いつのまにか、復活したコムイが真剣な顔をして、聞いてきた
話さなければ、分からない
私は、覚悟を決めゆっくりとズボンをまくり始めた
「「「!?」」」
見えてきたのは、肌色の足ではなく、銀色の輝きを放つ足
その場にいた人はみな、息を飲んだ
「ちゃん、それは?」
「実験のとき、咎落ちしかけて足を持っていかれたんです」
簡潔的に答える。うつむいているので顔は見えないが、心なしか声が暗い
触れたくない過去。刻まれた恐怖
「大丈夫、大丈夫よ」
リナリーがの腕をつかんだ。リナリーは微かに震えていた
「そっか!じゃ、ズボンにしようか!」
妙に明るい声が響いた。その声はコムイの声。空気を読んでくれたらしく、深くは聞いてこなかった
それが、ありがたかった
これ以上話せば泣いてしまいそうだった
「リーバーくん!もう一着のほう持ってきて!!」
「自分で取ってきて下さいよー」
文句を言いながらも、渋々もう一着用意されていたらしいものを持ってきた
「あっちに行って着替えてきてね」
私はうなずくと、団服を受け取った
着てみると、ちょうどサイズはあっており別に直さなくてはいけないところはなさそうだ
団服は、長ズボンにリナリーと同じような上着でシンプルなものだった。体にぴったりとしていて、体のラインを強調している
「、似合ってるわ!」
「ありがとうございます」
ですが・・・、誰がサイズ計ったんですか。まさか、目測とかではないですよね?リナリーならいいですが、それはそれでいつ計ったのか知りたいです
僕の目は間違っていなかった!と言っているコムイと、微かに頬を染めているリーバー
まさか、コムイ・・・?
「やっぱり、ちゃんはシンプルな方が似合うねー!」
「そうですか?」
そっちですか。安心しました。それにしても・・・、
顔を染めているリーバーを見る
「どうしたんですか?顔が赤いですよ?」
「な、何でもない!」
顔をそ向けられてしまった。私、何かしました?
「中々様になってるじゃないか」
「ありがとうございます、ミッシェル」
ミッシェルの頭をなでる
すると、コムイが思い出したように、手をたたいた
「そうそう!これミッシェルに!」
渡されたのは、黒い首輪。銀色の金具と教団のシンボルである十字架がついていた
それを、ミッシェルの首に取り付ける
首輪をつけたことがなかったので嫌がるかと思ったら、すんなり付けてくれた
「それじゃ、これで正式にエクソシストだね。これからよろしく!」
「はい!よろしくお願いします!!」
<あとがき>
はい!団服決まりました!団服がシンプルなのは、私の想像力が足りないからです!(自慢するな)
こんな中途半端ですが、これで入団編終了です!次回から、オリジナルスパイラルから抜け出します!
アレンも登場しますよ〜!
ここからはおまけです!
「リーバーくん、ちゃんの可愛さにやられちゃったかい?」
「ち、違いますよ!つーか、その手に持ってるのは何ですか?」
「ああ、これかい?これは、化学班の粋をかき集めて作った高性能カメラだよ!!これで、リナリーとちゃんの姿がばっちり撮れる!
まぁ、リナリーの可愛さとちゃんの美しさは写真に収められないくらいだけどね!!」
「(シスコンの対象が増えたー!?)」
化学班の人間は、また抜け出す回数が増える・・・、と嘆いたらしい