第5夜 束の間の休息

 

 

 

 

 

突然光を感じて神田は目を開いた

辺りはマテールの廃墟ではなく質素な部屋で、二つあるベットのうちもう一つには、まだ誰かが寝ている

左腕に重みを感じて、そちらに目をずらすと見慣れた柔らかな耳と銀色が見えた

そして腕に微かな湿り気

・・・・・・湿り気?

「てめっヨダレ垂れてるぞ!!」

「え・・・、ふわぁ!?すすすすみません申し訳ありません!!」

寝ぼけ眼で一瞬何を言われたのか理解できていなかったようだが、口元に手を持っていったことでハッとする。気持ち良さそうに垂れていた耳は、定規を当てたように立ち上がった

バタバタと洗面所に消えていったを見送ると、床に少し崩れた服が置いてあるのに気づいた。恐らくが置いていったものだろう

それにしてもどうしてこんなところにいるのか。マテールにいたはずなのに、窓の外を見れば露店が立ち並んだ通りが見える。あの廃墟と違い正反対に賑やかだ

不意に頬に熱を感じて慌てて振り向くと、が笑ってこちらを見ていた

「お茶、飲みますか?」

無言のままカップを受け取る。紅茶ではなく、緑茶独特の香りが漂った

「アクマを倒したあと、ユウとアレンは気を失ったんです」

隣のベットに寝ているのはモヤシらしい

同じ部屋で寝ていたという事実に舌打ちをすると、打って変わって真面目な顔をしていたと目がかちあった

「あ、あの・・・・・・

 

昨日は叩いたりして申し訳ありませんでした!!」

 

何のことだが分からず一瞬戸惑ったが、昨日の朝のことを思い出して合点がいった

別に叩かれたことを根に持っていたわけではない

日本語を話せる彼女は自分の心のよりどころとも言えた。奪われたようで、嫌だった

「お前にとってあいつは何だ?」

「え?」

きょとんとした顔で言葉を探すに顎で隣のベットを指し示すと、納得して言った

「アレンは私の弟みたいなものです

両親はいないし、自分の容姿のせいで邪険に扱われていたと聞いて、なんだか昔の自分みたいで・・・」

薄く笑みを浮かべて隣を見たには、微かに悲しみとも言える表情も混じっていた

神田は思わずを引き寄せた

「ゆ、ユウ!?」

「今は、嫌われてねぇだろ」

急なことに慌てていたは、動きを止めた

それに反して、耳が動き神田の鼻をくすぐり彼は思わずくしゃみをした

くすりとが笑い声を溢す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朝っぱらから盛らないでください、この雄猫が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベット脇にブラックな、さも環境に悪そうなオーラを垂れ流したアレン様が現れた!

その瞬間、空気が(神田の)固まった

「アレン、もう一回寝るんじゃなかったんですか?」

が今まさに襲われようとしているときに、悠々と寝ていられませんよ」

「ユウが私のことを襲う必要ないじゃないですか」

「待て待て待て。コイツいつから起きてた?」

一時間くらい前に一回起きたんですけど、もう一度寝るって言ってたんです

その言葉を聞いた神田は頭を抱えた

なぜなら二度寝すると言った時点で、アレンがエプロン姿やらなんやらを観察していたことは確実だからである

(椅子にエプロンがかかっていたことから推測)

(ちなみにフリル五割増しではない)

そしてエプロン姿を拝めなかったことに後悔の念が絶えない

勝ち誇った顔のアレンに、神田は軽く殺意を抱いた

そんな二人のやりとりを見ていたはくすりと笑いを溢した

「思った以上に元気でよかったです

二人が満身創痍な理由を考えて、ここに泊まるの大変だったんですよ

クロスの教えが役に立ちました!」

「「師匠(元帥)の?」」

「はい

痴話喧嘩がヒートアップして、殴り合いになった』って言ったら、おかみさんが色々よくしてくれたんです

本当は手当てもして下さったんですけど、イノセンスで治療したので断ればよかったですね・・・

ところで痴話喧嘩ってなんですか?」

「「(何教えてんだぁぁあぁあ!!)」」

爆弾発言投下

よくクロスが使ってたんですけどね

そう呟きつつ、辞書をめくるに対し、二人の心配はMAXである

弟子入りしている間に何を見て育ったのか、

一抹の不安がよぎった

 

 

<あとがき>

とりあえず短くてすいません(土下座

あと文才なくてすいません(獄寺式土下座

ララにグゾル、お前達の扱いがひどすぎてスマン。ちょろっとしか出てないよねホント!

(アニメのララの歌は好き)

けどマテール編の書きにくさは半端ないんだ!

はい、次は黒の教団壊滅事件!ここはちゃんと考えたから、これよりは長い!と思う!(ぇ