「どーする、どーするよ獄寺君」

 

「断っても意味はねーしな・・・。ましてや十代目だけに食べさせるわけにも・・・」

 

「私は食いたくねーよ」

 

「そりゃオレもだ」

 

 

 

 

 

 

標的08 脱獄囚とポイズンクッキングどっちが嫌だって言われたら決まってるだろ

 

 

 

 

 

 

半ば崩れかけたテーブルの上には怪しさ100万パーセントの飲み物が置かれている

その前で冷や汗を流しているのは言わずと知れた獄寺隼人と

性格的にも正反対の二人には一見すると共通点がないようだが、ところがどっこい大きな共通点が存在するのだ。そのカギとなるのが皆にスープを配っているビアンキ

 

 

つまり二人は

 

ビアンキにトラウマを持っている

 

 

獄寺はビアンキによって恐怖の幼少時代を、私はは年下のいい男を探していたビアンキに男と間違えられ、愛の料理を食べさせられた。その味はもう筆舌に尽くしがたい。私の毒の耐性などビアンキの料理でほぼ培われたと言っても過言ではない。母上に当たり前のように朝・昼・夜飯に毒仕込まれてたけど

 

「どうしたの、ハヤト」

 

「あ、うー、いや、その・・・」

 

「・・・・・・」

 

助けを求めるように獄寺に視線を投げるが、獄寺と言ったら俯いて腹を抱えている状態だ。この野郎、ぶっ殺・・・、隼人の方が食わされてきた期間長いから仕方ないか。冷や汗ダラッダラの状態で渋々コップを持ち上げる。普通に作ってもこれだもんな。料理に虫を入れるのはビアンキの定石なのか

ビアンキの見ていない隙に捨てられる可能性も考えちらりとビアンキを見てみると、ツナに緑黄色野虫のコールドスープを進めている最中だった

「冷たくて寿司なんかよりおいしいわよ」

「いや、あの」

飲んだらスープ以上に体が冷たくなることは確実だがな!

捨てたら捨てたで飲み干したと思われ、おかわりを入れられるのも嫌なので、テーブルの端にコップを追いやった

銃で撃ち落としたら見逃してくれるだろうかとコップを見つめていると、ふいにスープが泡立ち始めた。驚いてビアンキに目を向けると、ビアンキの持つコップも泡立っている

「ビアンキ!!それから手を放せ!!」

「!!」

 

ボンッ

 

言った直後コップが破裂し、スープがあちこちに飛び散る。それと同時にツナの襟首を鷲掴んで、テーブルの影に引き寄せる

「あぢぢぢぢ、何なの!?このポイズンクッキング!!」

「私じゃないわ」

「そもそもビアンキが故意に死ぬようなものを食わせるわけがないだろ!敵じゃあるまいし!てゆーかツナダイジョブか!?」

悪気はないと思いたいんだよ!!

火傷したあたりのところに顔を近づけて、ケガを確認する。

見る間に赤くなるツナをよそに、はあろうことか傷を舐めた

「えぇぇえぇえ!!??ちょ、ちゃん!?」

「なぁ!?」

「おい、おまっ!何してっ!!」

「え、舐めたんだが」

何か?と言いたげに頭を傾げる。まるで常識だとでも言いたげなその表情に、固まるしかない3人

「でも、ちょっと舌がしびれるんひゃよね・・・」

「大丈夫か!?」

様!?」

「ちょっと新しい調理法を試してみたの」

「さすがだなビアンキ」

「ちょっと!!無視しないでよ!!」

白兎から受け取った水を飲んでいると、もう遠足気分全開の雰囲気においてきぼりをくらわされた声が響いた

すっかり忘れてたよ。まあ、だいたい誰か分かってるけど

水を飲みながらちらりと声のした方を見る。カーキ色の黒曜中の制服。片手にはクラリネットを握り締め、髪の色は特徴的なワインレッド。間違いない

「・・・・・・M・Mか」

「あら、よく知ってるわね。それになかなか・・・顔もいいじゃない」

「女だからな。断じて男ではないからな」

全く動じないや白兎、リボーン、ビアンキなどの面々とは裏腹にツナ、山本、獄寺は思わぬ標的に動揺を隠せない

M・Mは一瞬驚いたような顔をしたが、クラリネットを構えた

「どっちにしろ男は金よ。やっぱり付き合うなら骸ちゃんがいいわ

まーせーぜーうろたえなさい。私はあんた達をあの世に送って

バックと洋服を買いあさるだけ」

言い終わると同時にクラリネットに息を吹き込むと、テーブルの上にあったお茶がペットボトルごと泡立ち破裂した

「うわー、派手にやるな」

「なんでそんなに冷静なのー!?」

「なんなんだあの攻撃は!」

「これじゃ近寄れねー」

だってファミリーに似たようなやつがいるから。もっとスマートに戦うけど

そうさらっと言い放つと、3人が唖然とした表情を作った。だって事実だもん(リボーン風に

「けど、さすがに攻略が難しくてな」

「犬ってヤツに続き、またすげーの出てきたな」

「ちくしょーどうすりゃ・・・」

誰が行くかと相談を始めるが、完全にツナは蚊帳の外だ。死ぬ気弾は残り1発だし、リボーンはツナに骸の相手をさせたいだろう

「白兎はどーする・・・って白兎?」

後ろを振り返ると、頭を抱えてうずくまる白兎が目に飛び込んできた。椿が心配そうに顔を舐めている

「だ、大丈夫か!?」

「も、申し訳ありません・・・。あのクラリネットの音が・・・」

白兎は耳がいい。この音も相当に辛いものだろう

はゆらりと立ち上がった

「おい!ふせてろ!」

「あのアバズレ・・・・・

 

ぶっ殺す!!!!!」

 

そう言い放って、M・Mに向かって駆けだそうとしたをツナ、山本、獄寺の3人がかりで押さえつける

「待て待て、落ち着けって!!」

「落ち着いてられるかぁぁあぁあ!!あの売女を切り刻んで、踏みつけて、ハチの巣にしなきゃ気がすまねぇ!!」

「発言が物騒だって!キャラ壊れてるよ!?」

「とりあえず座れ!!」

「白兎を苦しめる!そんなことするヤツは殺す!!」

「「「(ちゃん)!?」」」

マフィアの性むき出しを、大の男3人がかりでも止めるのが精いっぱいだ

その時「落ち着きなさい」という声とともに、肩に手を置かれた

「私が行くわ」

「おー、よしビアンキ。あの売女にポイズンクッキング食らわせて、人生の幕を閉じさせてきてくれ」

と言いつつも3人を振り払い、ふてくされて床に座り込んだ。ホントは止める為に、ポイズンクッキングを食べさせられるのが嫌だったからなんだけどな。ああ、なんて臆病な自分!

「ビアンキ気をつけろ。あのクラリネットの音波は分子を1分間に5億回物質を振動させて沸騰させる。ちょっとでも当たったら、弁当と同じ末路をたどる」

「分かってるわ」

獄に繋がれた時点で自分達は、武器情報その他諸々を知られたってことを考えないなんて馬鹿らしい。使い慣れた武器を手放したくないってのも分かるが、特殊な武器は一度知られれば意外と攻略が簡単だったりする。相当応用が効かなければ通用しない

ビアンキのお金より愛発言に頷きながらも、頭ではそんなこと考えた

 

あ、二節棍にもなるって言うの忘れた

 

ビアンキがM・Mに殴られた時点で、一瞬顔を青ざめさせただった

 

 

<あとがき>

M・Mがほとんどしゃべっていないというミス

なんだかこれ友情モノっぽくなってきたなぁ・・・・。ヴァリアーとか雲雀とかナッポーとかは書きやすいのに

最近お題に挑戦しようかという無謀なことを考案中