母上譲りのSらしさが時々見え隠れするとか言われるが、絶対に認めたくないな
無意識のうちに手に握られた鉄パイプを見て、将来あんなにならないことを切実に願った
標的13 ドSの恐ろしさって半端ないんだなコレが
突然の胸の痛みに獄寺はよろめいた
その頭をよぎるのは、姉であるビアンキの言葉
『かけられた病気が完成するまでは副作用が起きて、激痛をともなう発作が襲うわ』
シャマルに助けられたということが、とてつもなく不服であったが、今はそんなことにかまっていられない
「くそっ、こんなときに・・・!!」
状況を理解できないらしい柿本千種が、フラフラとこちらにやってくる
胸を押さえたまま、体を支え切れずにヒビの入った窓ガラスに寄りかかった
逃げなくては、殺られる
それは明白だったが、獄寺には体を動かす気力すらなかった
完全に牙を抜かれた獄寺の背後、つまり窓ガラスに影が映りこんだ
バキィ
ガシャーン
「キャイン!!」
「うおっ!?」
ガラスとともに少年が吹き飛ばされてきたかと思うと、顔面で滑りこみ、泣きたくなるような音を立てて壁に衝突すると、ようやく止まった
自分の頬を伝う血を感じて、少しでも回避が遅れていたら自分もああなっていただろうと思うと、一気に全身の血の気が引いた
そろそろと近寄ってみると、それは先ほど般若を背負った山本武に撲殺されたはずの城島犬だった
足でつついてみる
返事がない。ただの屍のようだ
痙攣しているところを見ると、一撃決殺が繰り出されたのは明白だ
暗殺者でさえ引く惨殺現場に冷や汗が止まらない獄寺だったが、背後に気配を感じ、どんな死神があらわれるのかとビクビクしながらゆっくりと振り向いた
「隼人!大丈夫か!?」
むしろ城島犬のほうが重傷だ
だと知って安心したのもつかの間、その手に血濡れた鉄パイプがにぎられているのを知り、刑の執行犯は彼女だと悟った
っていうか鉄パイプって
窓枠を越えて獄寺の隣に立ったは、心配そうに獄寺を見た
「発作は大丈夫か?」
「さっきので吹っ飛んだに決まってんだろ!?
つーかその鉄パイプどっから拾ってきた!?」
「コレか?そこらへんからへし折ってきた」
へし折るって
女子中学生の使う言葉じゃないだろ
この細腕のどこにそんな力があるのか、獄寺は不思議すぎて仕方がなかった
「ってか野球馬鹿とアイツはどうしたんだよ」
「・・・・・なんだかんだ言って隼人って優しいよな」
「なっ!?馬鹿言ってんじゃねぇ!!果たすぞコラァ!!」
「ま、そーゆうところが好きなんだけどな」
「っ!!!!」
あっという間に顔を赤くして口ごもってしまう獄寺
千種はしばらく夫婦漫才のような二人のやりとりを見ていたが、おもむろに犬に近寄ると蹴った
「ぎゃん!!」
「起きなよ」
止め刺した・・・・?
内心も殺っちゃったかもしれないと思っていたが、よろめきながら立ち上がった犬を見てほっとした
「て、てめー・・・、殺す気らのかよ!?」
「いつまでも寝てる犬が悪い」
「るせー!!オレがどんな目にあったのか知ってんのか!?」
「・・・興味ない」
何気にひどい
この会話を聞いていると、とても仲間だとは思えない
このドロドロした関係を終わらせてやろうか。っていうかぶっちゃけ白兎に早く会いたいので、この隙に二人に仕掛けようとは一歩踏み出した
しかし二人も伊達に裏社会で生きてきたわけではない
ガラスを踏む音に反応して、たちのほうに向きなおる
「黙って投降すれば、ケガしないですむぞ?」
「・・・お前がおとなしくついてくれば、そいつは見逃す」
話し合いの余地なし、か
千種がヨーヨーのような武器を構えたのを見て、はため息をついた
ため息つくと寿命縮むんだってよ。知ってるか?
「獄寺。あとちょっとだけ踏ん張ってくれよ。十分くらいでかたつけるからな」
「バカ言ってんじゃねーよ。お前だけにまかしてられっか」
「・・・ああ、デレ期到来か」
「お前マジで、そう言う言葉どこで習ってきた?」
お前に全てを受け入れる自信があるか?(キラーン
そう爽やかに言いながら、犬の攻撃を避けていたため、なんだか獄寺は激しく聞きづらくなりました←
犬との間合いを大きく取り、は鉄パイプを構える
どのような攻撃を仕掛けるか分かっている柿本千種よりも、今だに他の能力を隠しているに違いない城島犬のほうが厄介だ
先に叩いて、獄寺を助ける。それが一番の策だろう
「無駄に抵抗すんなよ。骸さんに無傷で連れて来いって言われてんらからな」
「私は無傷でも、お前はどうだかな」
っていうかお前はすでに結構な重傷だと思う
飛びかかってきた犬をすかさず受け流し、振り向きざまに鉄パイプを叩きつける
しかし身軽な犬は、それを楽にかわし、第二撃を振り下ろす
先程の戦い以上の身軽さには避け切れずに鉄パイプで受け止める
明らかに、違う
ハッとして頬を見ると、そこに描かれているのは猫のような絵とCHEETAHの文字
「チーター、チャンネル・・・?」
「あったりー」
目の前の犬が一瞬にして消え去った
殺気を感じ取ったはすかさず鉄パイプを横に薙ぐと、長い爪が目の前まで迫っていた
防戦一方のに、攻め続ける犬
どちらが優勢かは一目瞭然である
そんな状況の中、は不敵な笑みを浮かべた
「なあ、私ってどれだけの武器を扱えると思う?」
「?」
軽い音とともにの手から何かがはじき出された
線香花火のように火花を散らしながら宙を舞うそれは・・・
「なっ!?」
轟音とともに犬の身を強烈な熱波が襲った
獄寺の使うダイナマイトと酷似しているそれは、獄寺のものとは威力が明らかに違かった
すでに距離を開けていたは無傷だったが、長近距離でくらった犬はたまったものではない
爆風で吹き飛ばされた犬は、瓦礫の山に叩きつけられそれっきり動かなくなった
「犬!!」
「やりすぎたな」
「アイツ死んだんじゃねーか?」
「死んでないことを切に願うな。仕事を完遂できなくなる」
実はあのダイナマイトはもともと獄寺のものだ
しかしがそれを勝手に拝借し、火薬の量やら何やらをいじった結果がこうだ
ホントのことを言うと、こんなに威力が出るとは思ってなかったので、もビビっている(ぇ
とゆーわけで
「隼人、presentだ。ありがたく受け取れ」
「一瞬何か混じったぞ。仕方ねーな、もらってやるよ」
めっちゃ嬉しそうな顔しながらもらわないで下さい隼人君。お母さんは心配です by.フラム
もともとあぶない人間だった獄寺の装備がさらに凶悪化した(攻撃力が999上がった!
自分のもとから危険物がなくなったことに安心しただったが、後ろから聞こえた何かが崩れる音に耳を疑った
驚いた。まだ意識があったのか
うめき声を上げながら立ちあがろうとしている犬を見て、は目を見開いた。同じく獄寺も目を見張る
バイオ○ザードだ。噛まれると感染するぞ
「・・・○イオハザードはゾンビだから」
「本当か。あれ怖くて最後まで見れなかった・・・・って、なんでさりげなく混ざってんだ」
まさかの千種の参加にスタジオ騒然
それにしてもこの城島犬の生命力は並じゃない。これを倒すには母上直伝のあれしかない
ただ使う前から彼の死亡フラグがバリ3なので、使いたくないのが現状だ
後ろに飛び退り、壁に足をつけ勢いを・・・
スカッ
「うっわぁぁああぁあ!!??」
ガツン
カーテンを巻き込んで姿を消したの後に続いた鈍い音
あまりの痛みには悶絶する
それもそのはず
なにせコンクリートの壁にヒビが入っている
自分の石頭に心から感謝をし、頭を抱えながら立ち上がった
「おい生きてるか!?」
「おーう、平気だ。ったく、なんでこんなとこに・・・」
イライラしながら体に巻きついたカーテンをほどいて、適当に放り投げた
すると何かが羽ばたくような音がして、反射的に上を見ると黄色い鳥が円を描くようにして飛んでいた
バーズの鳥だ
なぜこんなところにいるのだろうか
そして聞こえてくる聞きなれた歌
私の携帯もアイツ専用着信に変えられてたっけな・・・
わしゃわしゃと頭をかき乱しながら、ヒビの入った壁を蹴るといとも簡単に壁は崩れた
そして向こうにいたのは
「へぇ、珍しいカッコしてるもんだな。新しい趣味か?」
「馬鹿なこと言わないでよね」
<あとがき>
最後の方がかなり投げやり←
久々に書いてたら自分のイメージと夢主が違ってて驚いた。最近は未来編の妄想ばっかだからなぁ
なんか黒曜編長いな。いつまでたってもナッポー臭い(ぇ