ドSとドMどっちが強いかって言ったら、攻撃はもちろんドS。

 

やつらはどうしたら精神的に肉体的に相手を追い詰められるか知ってるから。

 

防御はドM。あいつらはどんな攻撃もケアルに変えてしまうから。

 

ちなみにドSがガラスのハートというのは嘘だ

 

 

 

 

 

標的15 ナッポーVSガラガラヘビ

 

 

 

 

 

悲鳴を上げるツナを見て、骸は口角を上げた。

しかし何を感じたのかツナから視線をはずし、出入り口を振り向いた。

すると薄暗いオーラが漂っていた薄笑いが、周りに花とか飛びそうな満面の笑みになる。

横顔だというのにツナは吐き気を禁じえない。

 

!僕と暖炉のある白い家に住む気になったんで」

 

突如としてツナの視界から骸がフェードアウト。

ツナが事態を読めないまま硬直していると、さらに目の前を白っぽいものが横切り、地面に突っ伏した骸の襟首をつ掴み上げ、乱暴に起き上がらせた。

お分かりの通りである。顔は満面の笑みだが目は笑っていない。

顔が整っている分、怖さ倍増だ。

 

「へぇ、私の許可もなく]世デーチモに毒ヘビけしかけるなんていい度胸してるな六道」

 

「がふっ、の愛情表現は激しいですね」

 

「どんだけポジティブー!?」

 

布がギチギチいうくらい力が入っているらしい。

の周りには負のオーラが立ち込めている。全ての生き物の意識を叩き潰すオーラだ。

ツナに群がっていたヘビはバタバタと倒れていく。

に捕まっている骸はヘビに睨まれたカエルどころか、ガラガラヘビに睨まれたパイナップルだ(そのまま

はウエストポーチから二本の小瓶を取り出すと、笑顔のまま骸に突きつけた。二つとも中は透明な液体で満たされている。

 

「さあ選べ。神経毒と出血毒どっちがいい」

 

「どっちにしろジ・エンドじゃないですか!」

 

それを聞いたはそれもそうだというように頷き、瓶をポーチに戻した。

骸は胸をなで下ろしたが、ポーチに消えた手はそのままヘビへと向けられ、代わりにと言わんばかりに新たな選択肢を与えた。

 

「じゃあお前のヘビに咬まれろ」

 

「そんなことしたらただのバカじゃないですか!」

 

当然だというようには一言。

「三つしか選択肢がないんだから仕方がない」

呼吸困難、出血多量、ヘビに殺られろこの腐れナポー

実をいうと学校にまでこんな危険物を持ち込める根性は、人に使うことに躊躇しないらしい。

 

「僕のハートを盗んでおいて、飽きたらポイですか!あんまりですよ!」

 

「盗んだことはないし、盗みたくもない。お前復讐者ウィンディチェの牢獄行く前に脳外科行っとけ。いい闇医者紹介してやるから」

 

「そこで女医とのクフフな展開が!?」

 

「ねぇよ」

 

大興奮の骸ははっきり言って気持ち悪い。

あれ、コイツこんなんだったっけとか思いながら咄嗟に頬を引っ叩いた。もちろん頬は別に意味で赤くなる。

「愛の印ですね!」とほざいたので、平等にもう片方を引っ叩いてやった。

可哀想に。長い逃亡生活に疲れて頭をやられてしまったに違いない。

思わず目頭が熱くなり眉間を押さえると、虫歯のように腫れた頬をさすりながら、骸が言う。

 

「そんなことよりいいんですか?」

 

「何がだ?」

 

「ボンゴレのことですよ」

 

ヘビはみんな気絶させたし、犬や千種も下でのびているはずだ。

またおかしなことを言い始めた。自分の気をそらせるためかもしれないが。

思わず憐れみの目を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建物を揺らす爆音。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背後から爆風と石の欠片が降り注いだ。

振り向くとツナのいた場所からもうもうと立ち上る煙。

骸の頭を地面に叩きつけ、ツナの元へと駆けつける。死ぬ気モードでないツナは何の訓練も積んでいないツナは死んでいるかもしれない。全身から血の気が引いた。

 

そうなればボンゴレも終わりだ。

 

薄くなり始めた煙の向こうに人影が浮かび上がる。獄寺と雲雀だ。雲雀はまさかと思うほど顔面蒼白だ。

かの風紀委員長でさえいきなりダイナマイトを散布するとは思わなかったらしい。

 

「十代目ご無事ですか!?」

 

「愛を自重しろダークホースぅう!!大丈夫に見えるか馬鹿野郎!」

 

ダイナマイトの一本や二本ではすまない煙量。

しばらく爆心地を見つめていた雲雀は獄寺をごみのように投げ捨てた。

 

「なんで僕をこんな気違いと残したわけ?誤爆とかされたらさすがに生きて帰れないんだけど」

 

ツナに呼び掛けるには届かず雲雀の言葉は呆気なくスルーされる。

しかし自身の心をテキスト化すると、「お前はどうでもいいんだよ」。

多分彼に対する心遣いは0.00001%くらいだろう。

 

「]世無事か!?」

 

ようやく立ち上がったツナを見て、は息をついた。むせたツナの背中をさする。

気管支に炎症とか起こしてないだろうか。

 

「だ、大丈夫。

獄寺くん、絶交ね」

 

「なっ!!??」

 

あ、大丈夫そう。

根拠のない自信が出てくると同時に、新たに心配が出てきた。

しかし心配は心の隅に押しのける。とりあえずは無事だったことが幸いだ。

 

 

 

肩から臀部にかけて優雅に流れ落ちる銀髪、凛々しくも美しい横顔、あの細い身体に秘めた力。

そのことを考えるだけでも背筋がぞくりとする。

を舐めるように見つめていた骸は殺気を感じ、三叉槍を突き出した。鋼鉄のトンファーは回転しながら床に落ちる。

 

「うちの生徒をジロジロ見ないでくれるかい?」

 

「ずいぶんと彼女にご執心のようですね。

しかし君に『奇跡の少女ラガッツァ・プロイビッタ』の価値を理解できますか?」

 

「ラガッツァ?」

 

聞きなれない言葉に雲雀は眉間の皺を深くする。ただを指していることは分かるらしい。

雲雀はトンファーを拾い上げると骸を睨みつけた。

 

「何にしろ並中生に手は出させないよ」

 

ボロボロの体に鞭打って立ち向かおうとするその姿に、思わず笑いを零した。

 

「どうやら君を先に倒さなければならないようですね」

 

 

 

<あとがき>

一話一話が短いような気がする。もっと長くした方がいいんですかね?

どうでもいいけどなんか骸の扱いが哀れ。いいんだ!これが私の愛の形(ぇ