うん、分かってたよ。

 

休日なんて、暦上だけのものだって。

 

   休日大戦争

 

まだ寒さの残る春の朝。

とても少人数で生活しているとは思えない邸宅の一室で、白銀華菜はベットの上で眠っていた。

とうに、登校時間は過ぎているはずだが、今日は休日なので未だ布団の中だ。

その腕の中では、マイハニーvこと有能な補佐の白兎。

「寒い・・・。」

暖房をつけ忘れていたのか、部屋の温度は低かった。思わず白兎を抱きしめる。

こんな時間まで寝れるなんて、かなり幸せだ。本部とかだと、母上の鉄拳が降ってくる。

昔を思い出し、身ぶるいして初めて異変に気づいた。

白兎、でかくないか?

「おはようございます、華菜vv」

「おぃぃいいぃい!!??」

音速で男から離れようとするも、ベットから落下しそうなところを助けられ、抱き締められる形となった。

必死でもがくも、相手はがっしりホールドして離さない。

「この変態パイナップルが!!なんで白兎じゃなくて、こんな腐れたヤツと私は寝てんだよ!!??」

「愛ゆえですよvv」

「お前、もう一回輪廻巡ってこい。そして一生帰ってくんな。」

くっ、朝は白兎の挨拶から爽やかに始まる予定だったのに!いや、それより白兎はどこ行った?

部屋を見回して見るも、可愛い白兎の姿はどこにもなかった。

「骸、白兎はどこ行った?」

「彼女なら、華菜からの伝言だと言って外に出てもらいましたよ。あなたのお義兄さんは仕事らしいですよ。」

「変換違う。ていうか、何してくれてんだオメー。私の味方は0じゃねーか。」

「僕は永遠にあなたの味方ですよ!」

「お前が味方くらいなら、世界を敵にまわした方がマシだ。そもそも、いい加減離れろよ。私は低血圧だから、朝は機嫌が悪いんだよ。」

「じゃぁ、このままヤりましょうか?」

「どうなったらそうなんだよ!!」

いきなり耳元で囁きだした骸の束縛を解こうと躍起になっていると、窓の外からエンジン音が聞こえてきた。

はっ、今日って!

カレンダーを見ると、今日のところに赤マルがついていた。

咬 み 殺 さ れ る !

最後の力を振り絞り、窓に手をかけ開く。

外には案の定、風紀委員長の御姿が!

「何ですか華菜。公開プレイの方が好みなんですか?まぁ、僕としてはその方が好都合ですけどね。」

危ない。激しく危ない。何がって、私のプライドと貞操と白兎からの愛が。(ぇ)

ええい、どうにでもなれ!

「恭弥ぁぁああぁあ!!取り敢えず家に上がれ!!てか、上がってください、お願いします!!」

「何?ついに、僕を受け入れる気になった?」

コイツもか。

「うん、やっぱいいや。何か身の危険を感じたよ。今も危ない状況だけどさ。」

骸に抱きしめられていて、窓にはぎりぎり手が届く程度なので、恐らく雲雀には私が見えていない。

見られたら見られたで、嫌だが。

恭弥、と叫んだせいで、骸が雲雀の存在に気づいたらしく私を抱きかかえたまま、窓から顔を出した。

「残念でしたね。華菜は今から僕と愛を語り合うんですよ!」

「嫌だぁぁああぁあ!!こんなパイナポーとやってられっかぁぁああぁあ!!」

「明らかに嫌がってるよ。そもそも、パイナポーごときが僕の華菜に触れる権利はないんだよ。てか、放せ。」

めちゃくちゃ僕のってところ強調してたけど、もう何も言わないよ。

だって、骸が服に手をかけようとしてるし。

いや、その前にこれは健全夢小説だということを言っておこう。

「恭弥様、助けて下さいお願いします!」

最後の頼みと雲雀の懇願すると、何故か雲雀が顔をそむけた。

お願いです。見捨てないで下さい。(切実)

また顔を上げた雲雀の顔は、微かに赤いような気がした。

「代わりに、書類やってもらうから。全部。」

マジですか。

やっぱいいです、と言おうと思ったが、止める前に雲雀が骸に飛びかかっていった。

 

 

 

 

 

 

「さっきは本当に悪かったな。」

骸を滅却したあと、朝食を食べていないと聞いたので、作ってあげることにした。

雲雀は和食好きらしいので、もちろんご飯に味噌汁、焼き魚というような典型的な和食。

もう時間は昼食だが、そんなこと気にしてたら生きていけない。

夫婦みたいだね。

エプロン姿の華菜を見て、雲雀は思った。

「なんでアイツと寝てたの?」

「そんなのこっちが聞きたいくらいだ。朝起きたら、愛しの白兎じゃなくてパイナポーがいるんだからな。追い出したって言うし。」

ふぅん、そこだけは感謝してあげようか。彼女、いっつも華菜の傍にいて、ちょっとでもいいシチュエーションになると邪魔してくるんだから。

おかげで校舎は穴だらけだよ。今度弁償させてやる。(大人気ない)

ちょっと助けてやったくらいで、愛と勘違いしてるからな〜、と言いながら食事をする華菜を見ると、雲雀が立ちあがった。

「あれ、恭弥。もう食べないのか?」

額に柔らかい感触。

「うん。冷静に自己分析してみよう。おそらく、いまのは幻覚だ。」

「それって普通は、心の中で言うものじゃない?」

あ、間違えた。

え、ちょ、は?(落ち着け)今、コイツは何した?さっき恭弥の顔が異常に近かったけど、額辺りに変な感触が・・・。

「今、キキキキキキスした!?」

「うん、したよ。」

淡々と言わないでぇぇええぇぇえぇ!!女の園(時々、恐怖がつく)で育った私に、これは!!いや、うれしいけどさ!!

「何やってるんですか、雲雀様。」

「華菜ちゃんに手を出すなんてっ・・・!」

いつの間にやら帰っていた白兎と一緒に出かけていたらしいクローム髑髏が絶賛黒オーラ発散中vで、立っていた。

この二人の前で手を出せば、確実に死刑だ。なにせ華菜熱烈忠誠親衛隊ことぞっこんラブの隊長(白兎)と副隊長(クローム髑髏)ですから。

「恭弥、頑張れ!私は、学校で待ってる!」

「はぁ!?それずるいよ!!僕は生贄なの!?」

グッと親指を立てて、部屋から出ていこうとする華菜の肩を掴む雲雀の顔は、恐怖で真っ青だ。

うん、分かるよその気持ち、と言いつつ雲雀の手をはずす。彼女の中ではすでに、他人事だ。

それでも、心底嫌そうにする雲雀に対して、華菜は最終手段に出た。

雲雀の耳元に口を近づける。

「紅茶淹れて待ってるから、な?」

フェロモン絶賛発生中な声で耳元で囁き、頬に唇を落とした。

「「「!!!!」」」

その場にいた三人は、真っ赤になったが、二人は怒りで一人は恥ずかしさである。

「今のは仕返しな!それじゃ、逝ってこい!」

それだけ言い残すと、家から出て行った。

雲雀は、つっこむのも忘れて立ち尽くす。

「フフフ、覚悟はいいですか?」

「死んで。」

このあと、雲雀が華菜のもとに行けたかは、ご想像にお任せします。

(毎日、戦争だけどこれもいいかもな!)

 

 

 

<あとがき>

尊敬するれあき。様への相互記念です!

雲雀VS骸で、雲雀落ちというリクエストだったのですが、何故だか最後は白兎VSクロームVS雲雀になりましたね。

しかも、雲雀落ちさえかもアヤシイ・・・。

まるマのネタ入ってるし、微妙に連載のネタばれしてるし。

くっ、尊敬してやまないれあき。様にこんなものを捧げていいのか?

この小説は、れあき。様のみお持ち帰りOKです!煮ても焼いてもおいしくなりませんが、どうぞ!

返品は年中受け付けておりますので!

これからよろしくお願いします!