それは昼休みのこと

 

「ガハハハハ!ランボさん登場!」

 

「お、ランボ。Come here!!」

 

「え、ちょっと、華菜ちゃん!?」

 

 

 

 

 

十年後の君

 

 

 

 

嬉しそうにランボと遊ぶ華菜の姿は傍から見れば微笑ましい光景だが、少なくともその場にいる人間にとっては好ましくないようだ

「ランボ!学校にくんなって言っただろ!?」

「アホ牛!いい加減華菜から離れやがれ!!」

「まーまー、いいだろ?来ちゃったもんは仕方がないし」

「けど、それじゃ華菜が昼飯食えねーよな。こっち来てキャッチボールしねーか?」

暗に殺すって言ってるよ、この人!!

その場の全員のツッコミがぴったりあった

「ランボさんは、華菜とあそぶんだもんね!!華菜、あそぼー!!」

「あー、そうしたいのは山々なんだが、このあと授業あるしなぁ」

「あーそーぼー!!あーそー」

「死ねぇぇぇええぇえぇえ!!!!」

「ぐぴゃぁぁああぁあ!!」

「「「「ランボ!?」」」」

その時、駄々をこねていたランボに何か隕石的な何かが衝突した

それはランボに衝突したあと、寸分違わず華菜の膝に着地した

「華菜様、お久しぶりです」

「白兎!?おま、今のでランボ確実に死んだよ!?ってか、殺す気だっただろ!?」

「そんなの気のせいです」

「いやいやいや、死ねって言ってたし!!」

「そんなの空耳に決まってるじゃないですか。沢田様、耳おかしいんじゃありませんか?診てさしあげましょうか?」

「イイエ、キノセイデシタ」

「くっ、白兎さん!華麗な蹴り、お見事でした!」

「ありがとうございます」

「「(認めてるよ!!)」」

今の出来事を歴史の闇に葬り去ろうとしていたのだから、獄寺のことも闇に葬るのかと思いきや、普通に礼をかえしてました

そんな黒いとこも含めて好きなんだけどさ

密かに学校では白兎に会えないことを苦にしていたので、取り敢えず白兎の頭を撫でておく

すると背後で泣き声と何かを構えるような音がした

「うわぁぁあああぁあん!!」

「チッ、復活するのが早いですね・・・」

「いや、素直に喜んでくれよ。黒いとこしか見せてないだろ、今日」

「白兎ー。しっかりとどめささねーと」

「こっちもか!!」

「華菜ちゃん、ツッコんでないでランボ止めて!」

世界一のツッコミ人にこんなことを言われる日がくるなんて!

ナチュラルに黒が出た山本に怯えて、すっかりランボのことは忘れてしまったが、ランボが十年バズーカを撃つのをやめるわけがない

ズガンッ

「「「「「あ。」」」」」

どうしたことか十年バズーカが暴発し、華菜に直撃

「ラ、ランボさんしらないもんね!」

「オイ!待てアホ牛!」

「うわぁぁぁあぁあ!!ど、どうしよう!!」

「おーい、華菜ー!大丈夫か?」

三者三様の反応の中、当事者であるランボは逃走し、ツナはパニックに陥ったのだった

 

 

 

 

 

 

 

「華菜ちゃんに当たったってことは、十年後の華菜ちゃんがきちゃうわけだよね・・・」

「ですね・・・」

モクモクと煙が立ち上るところを、三人は目を凝らして見つめる

「ん?ああ、ここは並中の屋上か・・・」

状況判断が異様に早いな

全員が心の中でそう思ったが、その考えが心の内に留まったのは一瞬だった

 

スーツを着ていても分かる、女なら誰もが羨ましがりそうなスタイル

 

サラサラとした銀の髪

 

艶やかな唇

 

大人の色気が漂いながらも、微かに子供っぽさがある瞳

 

十年後の華菜は右手で前髪をかき上げると、ゆっくりとツナ達の方を向いた

「か、華菜、だよな・・・?」

「そ、それしか考えられないよね・・・」

「マジかよ・・・」

華菜は当惑気味にの三人を見ると一瞬驚いたような顔をした

「ツナに武に隼人、か?」

突然自分の名前が呼ばれたので三人は咄嗟に返事ができなかった

立ち上がった華菜は、一番近かった獄寺の傍に歩み寄るとしゃがみこんで獄寺の顔を見た

「な、何だよ・・・」

「・・・わいい」

「「「え?」」」

「十年前の隼人って、可愛いな!!」

そう言うと華菜は獄寺に抱きついた

「なっ!?おまっ、オイ!!」

「いやー、隼人可愛いなぁ!!十年後のお前は雰囲気がエロっぽいんだよ!!ま、ツンデレは変わってないけどな!!」

可愛いを連発しながらも抱きしめている腕を緩めず、獄寺の顔は胸にうずまった

「「(羨ましいっ・・・!!)」」

獄寺は必死に離れようとしているようにも見えるが、実際は満更でもなさそうだ

くしゃくしゃと獄寺の頭を撫でたりと、獄寺ばかりを可愛がる華菜

さすがに二人もイラついてきたのか、ツナが声をかけた

「あの〜、華菜ちゃん?白銀さん?」

「あ、ツナ!」

続いて華菜が獄寺を手放し、ツナが胸へとダイブした

「いや〜、お前十年前はこんなに目が大きかったんだな!ホントに可愛いな!!」

ツナはこのときはじめて、童顔だったことに感謝した

ツナは身長が低めのため、パッと見では弟と姉のようにも見える

「十年後もこの顔だったらなぁ。あ、けどこれじゃ、ボスとしての威厳が・・・」

「んなぁ!?オレ、十年後ボスやってんの〜!?」

「当たり前だろ!ノッテでも噂の十代目ファミリー!歴代ボスのなかでも、初代に次ぐ美形ファミリーだって言われてるしな!って、武!お前、野球少年だったな!」

ツナを手放すと、山本を引きよせあろうことか額にキスをした

「華菜ちゃん!何やってんの!?」

「挨拶だが?あ、そっか。ツナ達はまだイタリア行ったことなかったか」

山本は顔を真っ赤にし、額に手を当てていた

その反応が可愛いと山本を抱きしめた華菜だったが、屋上に新たな人物が登場した

「君たち、さっきからうるさいよ。咬み殺されたいの?」

「ひ、雲雀さん!?」

雲雀は群れがあるのを見てトンファーを取り出したが、山本がだれかに抱きつかれているのを見て顔をしかめた

「君、不純異性交遊は禁止だよ。そもそも部外者は立ち入り禁止なんだけど」

「恭弥!いやー、お前今も昔も変わってないんだな!」

変わってなかったのかこの人

なんだか予想通りです

雲雀を見た華菜は嬉しそうに駆け寄ったが、雲雀が華菜だと認識するはずもなくトンファーを構えた

「雲雀様?そのままトンファーを振り降ろしたら、どうなるか分かってますか?」

全員の動きがぴたりと止まる。このドスの利いた声は・・・

「白兎ぉ!?」

「どうも。十年前の沢田様」

ちらりとツナの方向を見るも、白兎は華菜の方に向かい雲雀から引き離した

「華菜様。いくら十年前で嬉しいとはいえ、もう少し行動に責任を持って下さい。中学生とはいえ男は皆、狼です!全く婚約者のあの方といい、男はとんでもない方ばかり・・・」

「白兎、婚約しても一番はお前だって言ってるだろ!」

「華菜様!」

ラブコメは健在

今の言葉で雲雀は華菜と認識したが、格好がどうとかの前にツッコむところがあった

「「「「婚約ぅ!?」」」

そう、今の会話の中に2回も婚約という言葉が出たのだ

白兎は笑顔ながらも黒オーラが垂れ流されている状態で4人を見た

「ええ、そうですよ。可哀そうに華菜様は誑かされてっ・・・!