また一心の相手をするのかと軽く鬱になりかけながら階段を降りる。だがそこでふと足を止めた

何故かあの黒い着物の少女と会ったことがあるような気がしてならなかった

 

 

 

 

3.Death&Strawberry&Black Silver 〜Crisis〜

 

 

 

 

姉、一兄どうだった?」

「どうだったって・・・、まぁいろいろだったよ」

「お姉ちゃん!ご飯冷めちゃうよ!」

「お〜う」

夏梨と遊子の問いかけにも上の空で答えながら自分の指定席についた。もちろん二人の間の席だ

一心は座ったり立ったりを繰り返している

どうやら上の一護が気になるようだ。子供みてぇ

「お父さん、お行儀悪いよ!ちゃんと食べないなら片付けちゃうよ!」

ごもっとも。夏梨を振り返ると、いつものように呆れた顔をしている

「夏梨ちゃん、もう一杯おかわりする?」

「いや、もう要らないよ」

「あ〜、私はいるわ」

「相変わらずお姉ちゃんは早いね!」

「また太るんじゃないの?」

「そんなに太ったことねぇ。私の体重詐称するな、読者が信じるだろ」

ウオォオオオオン

「「!?」」

遊子、一心、夏梨の順で見る。遊子と一心は気づいていないようだが、夏梨は下腹辺りを抑えこちらを見ていた

「(幽霊の声?でもこんなの聞いたこともない・・・、!?)」

ドオン

大きな音ともに壁に大穴があき、一心が壁に叩きつけられる

「一心!?」

壁と一心の背中は真っ赤に染まっていた

大穴があいたと同時に、入ってきた巨大な「何か」は遊子を掴もうと手を伸ばした。が、がその手を蹴り飛ばし、遊子を抱え後ろに下がる

「こいつっ!!」

「夏梨!そいつに近寄るな!!」

バキッ!!

の声も届かずに夏梨はそいつに飛びかかっていくが、夏梨の小さな体は弾き飛ばされた

間一髪で受け止める。夏梨の額は切れて血が流れ出していた。その血を拭う

姉・・・、あいつは・・・?」

「分からない。夏梨、一護にこのことを伝えてきて」

姉はっ!?おいてけっていうのか!?」

「一護はこのことを知らないはずだ!」

そいつの手が飛来したところを避けると、床が陥没した。なんなんだ!?こいつは!!こんな幽霊見たことも聞いたこともない!!一護のところなら安全なはず!!

夏梨を階段に押し込むと、遊子を抱えなおす。遊子は驚きのあまりか気絶してしまっている

「くっそ・・・!」

あいつっ、許さねぇ・・・!壁に立てかけてあった刀に手をかける。竹刀や木刀ではなく本物の刀だ

遊子を抱えているため片手で刀を持つが、何故か両手の時よりもしっくりくる感じがした

さらに、そいつに刀を向け、睨みつけたときに、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

血が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騒いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故そう思ったかは分からない。だが、そうとしかたとえようがなかった。血沸き肉踊るとはこのことを言うのだろう

だが同時に相手の弱さに失望感も覚えた。そんなはずはない。壁に大穴をあけるような怪物が弱いはずがない

っ!?」

「一護っ!?」

なんで来た、という言葉を発するはずだった。だが、

ドゴォ!!

「うぁ・・・!}

!」

思いきり殴りつけられ壁に叩きつけられる。遊子を庇ったための体に鋭い衝撃が走る。内臓をすべて吐き出してしまいたくなるような激痛だ

腕が折れたようだ。そんなことを冷静に考えている自分がいて、思わず笑ってしまう

だがそれよりも、こんな奴を倒せなかった自分に嫌気がさした

そいつは私に飛びかかってきた。体を持ち上げ避けようとするが腕にさっきよりも大きな激痛が走り倒れこむ

「くそっ・・・!」

遊子だけでも助けようと覆いかぶさるようにして庇う。すると、束の間の浮遊感

「!?」

「大丈夫か!?」

「お前は、さっきの、幽、霊、?」

「死神だ」

死神って、鎌持ったあれか?とどうでもいいことを言おうとしたが、言葉が出ない

だが、視界は不思議とはっきりしていた。少女の後ろに見えるのは巨大な「何か」の目の前に立ち、叫んでいる一護

私は力を振り絞り少女の後ろを指さした

少女はバッと振り返る

「なっ!あいつ何をしている!?」

巨大な「何か」はもう一護に迫っておりとても助けられそうになかったが、刀を構え黒髪の少女は走り出した

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

そいつの口に

 

 

 

 

 

 

身を投げた

 

 

 

 

 

 

口を切りつけられた、「何か」と少女から流れ出した血が入り混じる

その時、頭のなかで映像が流れた

 

 

 

今いる「何か」と配色が同じようなものが夢に出てきた銀髪の少年に飛びかかる

少年は足をケガしているようで、刀を杖にして立ち上がろうとしているが立てずにいた

そいつの口が少年に迫る

すると突然、そいつが近くに迫ってきた

いや。私がそいつに迫った

私はそいつに切りかかり、そいつは倒れたが私も倒れこんだ

血が流れているようだが痛みは、ない

少年が這って近寄ってくる

目には微かに

涙が滲んでいたようだった

 

 

 

「何、これ・・・?」

突然映像が切れた。次に見えたのは少女が一護に刀を突き刺しているところ

まばゆい閃光が辺りを包みこむ

最後に見たのは

一護の黒い着物姿だった

 

 

 

<あとがき>

ハハハッ、ぐだぐだが抜けねぇよ姉貴(誰