『・・・い、おい!』
飛来してきた拳を間一髪で避ける
目を開けば呆れた顔の銀髪の少年の顔があった
『え、あれ?ここどこだ!?』
『屋根の上で寝といて場所忘れんなよ』
ふと足の上に目を向けると、くしゃくしゃになった薄手の掛け布団があった
どうやらかけてくれたらしい
『お前が風邪引いて心配すんのは俺なんだぜ・・・』
ものすごく小さな声で言っているはずなのに、はっきりと聞こえる
少年の頬に触れると、女のようにすべすべとしていた
『何だよ』
眉間には皺が寄っていたが、私以外では分からないような笑みが浮かんでいた
10.Memory to occur at the same time
学校に行く途中にまた黒猫に出会った
動物らしからぬ知的な瞳
しばし見つめあった後、黒猫は踵を返した
「イヤーー!!まいった!!!マジ助かったぜ一護!!」
「どーいたしまして?」
鼻をつまんでいるので半ば鼻声の一護が言う
なんなんだこの臭さは
匂いの発生源はあきらかにコンだ
コイツが動くたびに匂いが飛び交う
「なにしろあの位置じゃ入ってくる奴のカオなんて確認できねーから、物音だけでオメーかどうかを判断しなきゃなんなくてぁ!!」
「ほー、そりゃー大変そうだ」
「そう・・・、大変だったぜ・・・。何しろオメーに当たるまでに・・・、
オレ様はオメーの親父の小に3回、大に2回おつきあいしちまった・・・・・」
一護はそれを聞くと消臭スプレーに手を伸ばす
「現にさっきオメーが入ってくる5分前にもオメーの親父がウン」
「どうりでクセえハズだ。そういうことは最初に言え」
消臭スプレー発射
コンは顔面にマトモにスプレーをくらった
「ななな何しやがんだ!!これが長時間苦難に耐え忍んだ・・・、いやそうでもねぇか」
「あぁ?どういうことだよ。まさか、アレが楽しかったなんて言うなよ」
誰がトイレの裏に貼り付けられるのを好きになる
コンは再び心外だとでも言うように、一護に飛びついたがあえなく一護に殴り飛ばされた
しかし、がばりと起き上がるとこうのたまった
「何せ一回姐さんのにお付き合、おぶッ!!」
「ヒトの妹になんてことしやがる!!」
一護のチョップが炸裂
痙攣しているコンをつまみ上げると、窓を開けてコンをつきだした
「まてまてまて!!そんなことよりネエさんが大変なんだよ!!」
「そりゃそうだな。お前がトイレなんかにいたら、ショックがデカイからな」
「ひどいっ!!じゃなくてルキアネエさんだよ!!」
なんとか危機を脱したコンが指さす先には書き置きがあった
一護は開いて驚いた
「やー、コンビニが近いっていいね!」
片手にはプリンの入ったビニール袋
夜中にとつぜん食べたくなってしまったのだ。の中に8時過ぎに物を食べると太るという概念はない
ポケットから小瓶を取り出すとコンペイトウを2、3個口に放り込む
口に広がる甘さに幸せを感じながら歩いていると雨竜が飛び出してきた
「おーう、雨竜どうした?ストーカーでも」
「さんッ!こっちに来ちゃダメだ!!」
雨竜がを突き飛ばすと同時に、血飛沫が飛び散った。脇腹からは血があふれ出し、雨竜が目の前に倒れる
突然のことに呆然としていると、声がした
「ほら、だから言わんこっちゃねェ」
ついさっきまではいなかった、絶対に
ここは一本道だ。曲がり角から現れるなんてありえない
真っ赤な髪に奇妙なゴーグル。真剣を携えた、黒い着物姿の男
ルキア以外に初めて見た死神だった
動くことさえできない。呼吸が速くなる。動悸が激しいのは恐怖からか、それとも―――
笑みを浮かべた男の目が、雨竜からに上げられた
途端に自分の友人を傷つけられたことに対する怒りが込み上げてきて、雨竜を引き寄せながら睨みつけた
「お前もオレが見えるのか?」
心底意外だというように男が一歩近づく
「、さん・・・、逃げて・・・」
「雨竜を置いて逃げられるわけないでしょ」
懇願するように呟かれた雨竜の言葉も意に介さず、逆に強く抱きしめる
だが顔を覗き込むようにしゃがんだ男の言葉には少なからず動揺した
「お前、、か?」
その言葉を言った男の動揺も尋常ではないようで、男の目は大きく揺らいだ
ああもうなんで私の名前を知ってるのさ!!
頭の中がごちゃごちゃして、覚えのない記憶がよみがえる。だがその記憶はところどころ切れていて、できの悪い昔の映画のようだった
男の手がの顔に伸ばされ、触れようとしたときだった
ズドン
「なっ!?」
「てめぇ、ヒトの妹に手ぇ出してんじゃねぇよ!!」
「い、一護!?」
男めがけて振り下ろされた大刀は、避けられ道路が打ち砕かれた
塀の上に逃げた男がいた場所には、一護が立つ
「一護・・・・」
「礼ならあとで言えよ。そんな場合じゃねぇからな」
「アホか!誰が礼なんか言うか!!この道路どうすんだよ!?工事の人にメーワクかけてんじゃねーか!!責任取って直せ!!」
「ああ!?ツッコむとこそこかよ!!ってか俺命の恩人だぞ!?」
「知るかボケぇ!!だったらもっと早く来いやぁ!!」
ガスッ
が一護に頭突きをかました!痛みでのたうちまわる一護と同じくらいダメージを受け頭を抱える
それをあきれたように見る男と死にかけ雨竜
ああっ、誰か話を戻してっ!!by.ルーチェ
あきれたように二人を見ていた男の目が一護の刀、そして服装に止まり目を丸くした
「死覇装だと・・・・・・?なんだテメーは・・・?何番隊の所属だ・・・!?
何なんだその・・・・・・
バカでけえ斬魄刀は・・・!?」
「なんだ、やっぱりでかいのかコレ」
半ば涙目の一護が頭を押さえながら立ち上がる。もちろん石頭と石頭が正面衝突した結果だ
先程のやりとりのせいで、男が発した驚きの声の太字のところが面白いかのように見えた方。それは私もです。by.ルーチェ
「やルキアのと比べてずいぶんデケーなとは思ってたんだけどな・・・」
一護の口から発せられた名前で、ようやくルキアがそこにいたことに気づく。右頬が切られていて綺麗な顔が台無しだ
女の子の顔に傷つけたら、一生かけて償わなくちゃいかんのだよ!!
どうしてこの男はルキアを狙うのかと思考を巡らし、視界に男も加えると頭が針で刺されたように痛み、また頭を押さえた
頭突きをしたときのダメージが残っているのだろうと思った一護は、気にしなかった
一護と男の剣がぶつかりあう音が脳内に響くと、埋もれてしまった記憶が呼び覚まされるようにまた頭が痛んだ
少し離れた所から見ていたもう一人の死神
その瞳は自分の部下にではなく、蹲っている一人の少女に向けられる
何が起きようとも冷静さを失わない。そんな性格を湛えた瞳に誰にも分からないような動揺が見て取れた
全てのことが自分と別の世界で起きている
<あとがき>
一護との会話に今回のギャグの全てを注ぎ込んだ(ぇ