え、やべ、コレ走馬灯ってヤツじゃね?死ぬ直前に全く知らない記憶が流れるってどーよコレ。え、いじめ?

 

 

 

 

11.雨に濡れた彼女は真実か虚ろか

 

 

 

 

一護が倒れた

 

 

人格が変わったように刀を振るう一護は、比べ物にならないほど強かった。だが黒い死神に刀身を折られ、放心している隙に胸を刺され、そして倒れる直前にまた一度。ルキアが白哉兄様と叫んだので、黒い死神の名前が分かった。どうして兄が妹を狙うのかは知らない

なんの抵抗もなく倒れた一護は、ぴくりとも動かなかった

「い、一護・・・・・」

次に狙われるのは私に違いないとは思うのに、死ぬこととは別な恐怖が私を襲い、一護に近寄るがそれを阻むように赤い死神が立ちはだかる

戸惑いを浮かべたその視線に、びくりと反応する。冷や汗が流れる。頭は限界に近い

「隊長・・・・・」

「その女はではない。であったなら、その男を見殺しにするようなことはするはずがない。ただ似ている。それだけのことだ」

男の目には情けというものが映っていなかった。遠い昔に感情を削られたかのような目

 

アイツガウリュウをキズツケタ

 

コイツガイチゴヲコロシタ

 

!逃げろ!一護を連れて逃げてくれお願いだ!!」

今にも泣きそうなルキアの声が、耳を突き刺す

 

ルキアガカナシンデイル

 

私は何をしている。ただしゃがみこんで死ぬのを待つか?そんなバカな

「ルキアとその女を連れて帰るぞ」

赤い死神が意を決したように、乱暴に私の手首を掴んだ。だがそれと同時に白哉が反応を示す

頭痛はどうしたことか治まる気配はない

「一護・・・!」

「・・・一・・・」

「勝手にヒトの妹に触れてんじゃねーよ・・・!勝手にハナシ進めてんじゃねーよ・・・!!」

死んだ風にハナシ進めてたって知られたら、一護にシバかれる

一護が生きていたことを知り、ほっと胸を撫で下ろしたがルキアの顔は恐怖で歪んでいる

どうして心配する必要があるのか。コイツの生命力はゴキブリ並みだというのに

その直後に黒い死神が発した言葉で何が起こるかくらい分かった

「余程その腕、いらぬと見える」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭が、真っ白になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マズイ

このままだと一護の腕が切り落とされる。そう思い駆け寄るつもりだった。その手を蹴り、目が覚めたと、おとなしく尸魂界に帰るつもりだった。だが、滴る血は一護のものではなく、次に地面に降りたのも腕ではなかった

すたりと降りた彼女は、流れるような動作で血を振り払った

あまり表情を変えない兄様が、驚きの色を浮かべた。彼女に斬りつけられたということ、それに彼女が死神であったということも驚きの一つだろう。だが、それはであってではなかった

上げられた目には恐怖など微塵も感じず、あるのは純粋な怒りだった

「消えろ。殺さないでいるのを幸運と思え。すぐに消えなければ殺す」

突き刺すような霊圧に体が動かなくなった。目の端で恋次が一歩後退りしたのが分かった

が柄に手をかけた。それにあわせるように緩やかに銀の髪が舞う

それが最後に見た『』の姿だ。その時の微笑はまるっきり『』だった

 

 

 

あっという間に大振りになった雨が、一気に一護の体温を奪う

それに気づいたは慌てて一護を担ぎあげる。血が背中を汚すが、もともと気にする性格ではない。それにこの雨だ。すぐに洗い流されるだろう

「あー、一護の家には連れていけないな。遊子と夏梨が泣くし。それ以前にこの状態じゃ意味ねぇか。しゃーない、喜助の変態のとこ行くしかないか」

がその場から消えたかと思うと、屋根の上に現れる。そして、次は遠くの屋根。それを何度か繰り返すうちに、浦原商店の前に飛び降りた。ガラスがはめ込まれた引き戸を乱暴に足で開けると、文句を言うようにガシャンと音を立てた。その音を聞きつけたのか、喜助が寝ぼけ眼で奥から出てくる

「もう閉店したんスけど・・・・・・」

「悪ぃ、もうダメだ。一護頼んだ」

目を見開いた喜助の前で、糸が切れたように倒れ伏した

 

 

 

<あとがき>

一日で一話書いたの初めてかも(ぇ

おまけに一回文を消しちゃってね・・・・・。本気で泣きそうになった。すっごくよく書けたのに!!

休日中に書くと言ってウソつきました。ルーチェの言葉は信用ありません。けどこの前の日曜日は事情があったんだよ!!(逆ギレするな