刀を打ち込む音、防いだ時稀に飛び散る火花
目に、体に沁み込む
12.記憶の狭間
話は一通り聞き終わった
俺を尸魂界に行かせる条件として、十日間修行られればいい
「しょうがねぇっ!やってやろーじゃねえか!
はなんて言ってんだ?どうせ俺と同じ反応だろーけどよ」
それを聞いたゲタ帽子は、無言のまま俯き、俺に背を向けた
嫌な汗が背を伝った
まさか。最後に見たは強かった
それこそ殺気で人を殺せるんじゃないかと思うほどに
そして
じゃないみたいに
俺は咄嗟に羽織の裾を掴んだ
「・・・はどうしたんだ?」
出てきた声は驚くほど乾いていて、俺のものじゃないと思うほどだった
目深にかぶった帽子のせいで表情は読み取れない。けどこの空気を読めないくらいバカじゃないつもりだ
ゲタ帽子がため息をついた
「さんは隣の部屋に寝かせてあります」
俺はほとんど突き飛ばすように手を放すと、すぐに部屋に向かった
部屋の中央にが寝かされていた
顔は白く、ぐったりとしている
また、か
この前は死神化してたから問題なかったかもしれない。でも、アイツが言うからには嘘ではない
まさか、負けるなんて思ってもみなかった
「アレ」で負けるなんて誰が思う?あの二人の死神も殺気だけで逃げて行った
・・・・?じゃあ、誰がコイツを殺したんだ?
疑問が湧き出てきた。の前髪を避けてやり、顔を近づける
ガツッ
「「いっ!!!??」」
頭と頭がごっつんこ☆
ついでに辺りに星が飛んでいる。いや、例えじゃなくてマジで
何が起こったか分からずに涙で曇る目を開けてみると、目の前でが顔を押さえて悶えていた
悶えながらも何やら言っている
「お、お前、修学旅行で顔にペンで(油性)落書きしたことまだ根に持ってんのか・・・・」
「てめぇか!アレ消すのに苦労したんだぞ!?」
嬉しそうに荷物に油性ペン入れたから、何かやらかすとはおもってたけどな
(馬芝中学卒業文集から抜粋)
「おー、さん起きたんスかー?」
後ろで呑気な声が聞こえた
振り向きざまに襟首を引っ掴む
「おい、てめぇ・・・、騙しやがったな!?」
「やだなぁ、騙しちゃいませんよ
アタシが一言でも『さんが死んだ』って言いましたか?」
「ぐっ・・・!」
「さんには今日の晩ごはんのコロッケを作ってもらってたんスよ、ジン太さんやウルルと
ジン太さんがコロッケをパスしたとき、ふざけて殺人魔球を放ったら、顔面に衝突!
で、倒れたさんは机の角に頭をぶつけたと」
ああ、顔が白いのは小麦粉か
本人も行儀の悪いことに布団で顔を拭いている。俺のと違って柄付きの布団だから、汚れがはっきり分かる
何回目の心配損だ、こんちくしょー(壊
そして、そこに二人の子供が追加された
一緒に作っていたという二人だろう
腕を引っ張られて笑いながら部屋から出ていくは、思い出したようにこっちを振り向いた
「あ、そうだ。あの戦い?の顛末教えてよ、飯の時にでも」
「は?」
それだけ言うと、は騒ぎながら部屋から出て行った
終業式だからって私と一護は学校に行かされた
レッスンとやらをさっさと始めたかったのに
「特に!徒歩で日本一周したとかでニュースにならないようにしろよ!」
「はい先生!なった場合は撮っといてください!」
「おーし!永久保存版にしてやるー!!」
やる予定ないだろと一護に殴られた。どっと笑い声が上がる
ルキアがいなくなったというのに、生活は全く変わらない。誰も覚えてないからだ
私と一護と雨竜くらいか、覚えてるのは
学校行く直前に行方くらまして聞いてきた
啓吾が一護に棒で割られている。多分、今年も海に行こうと言っているに違いない
「さんも集合してくださーい!!」
欠伸をして、頭を掻いて輪に加わった
総勢七人。女子も混ざっているから、混浴風呂が入っているのは確実だ。毎年入ってるけど
まず一護。まあ、レッスンもあるから辞退。
っていうか、啓吾の盛り上がりが最高になった時に冷めた返事を返す奴があるか
私の出番を取るな(ぇ
織姫も辞退。多分一護が行かないからだろうなー
で次にたつき。インハイ頑張れ!
チャドも何かあるらしく辞退
水色はプーケット旅行にハーレム状態で行くらしい
「土産頼んだ!」
「まっかせてください!」
親指グッ☆
「さん!さんは行きますよね!?」
「えぇ!?二人とかマジであり得ないだろ!そもそも用事あるからムリ!」
膝と手をついて啓吾は嘆いた。今にも天に向かってオーマイガッ!とか言い始めそうだ
それが尸魂界に行く前にあったこと全てだ
「「よろしくお願いします!!!」」
「やかましい!!」
「ってぇな!お前も言ってただろうが!!」
「知らねーなそんなこと!」
<あとがき>
つまりはの顔が白かったのは小麦粉のってことを書きたかっただけです(ぇ