彼女のおかげで、今まで幾人の人が救われただろう

 

 

 

 

3.Izumi hara of the happiness

 

 

 

 

「桃、おかわり。」

「お前食い過ぎだろ、太るぞ」

「そーゆー、お前はもっと食わねぇと一生 チ ビ だな」

「んだと!?」

「ケンカしないの!はい、ちゃん」

「ありがとな!」

もう既に3杯目のご飯を受け取る

冬獅郎がここに来てから、早1ヶ月。もうすっかり馴染んだようだ

「けどシロちゃん。ちゃんはよく動くから、ちゃんと食べないと生き倒れになっちゃうんだよ」

「シロちゃんじゃねぇ!」

「え、じゃあ、ポチなんてのはどうだ?」

「それじゃ、思いっきり犬だろうが!」

ゲラゲラと笑うに憤っても仕方がないとは分かっていても、日番谷は怒る

これは朝の日常茶飯事になっていた

いつもなら、微妙な乱闘になり、あっさりに日番谷が負ける、というストーリーなのだが今日は違った

日番谷が、を叩こうとした時、突然玄関が開いた

「あ、緋真」

さん、おはよう!」

玄関に立っていたのは、女性と少女の間あたりと思えるほどの年齢の女。雛森とは対照的に、おとなしい印象を与える

ま、ここでキャラを崩壊させない手はない(ぇ

緋真とに呼ばれた人物は、中を見て一瞬足を止めた

の上に馬乗りになっている少年

本当は、取っ組み合っていただけなのだが、それがさらに状況を悪くする。取っ組み合っていたということは、暴れていたということで、着物の着付けが悪くなるのは二人とも免れない

「・・・・さん、その人誰?」

うふふ、緋真さん。口は笑ってんのに、目は笑ってないぜ☆

急転直下とはまさにこのこと!みるみるうちに、気温が下がっていきますぜ!ってか、今、冬!寒ぃよ!

「だ、誰だ?アイツ・・・」

「緋真だけど・・・。なんでさ、なんで今日はこんなに怖いのさ・・・」

その時、日番谷は何かを察したらしくの上からどいた

も起き上がり、体を緋真に向ける

そこで、緋真が近づいてきて、の着物を整えた

「流魂街一の美人って言われるくらいなんだから!着物くらいちゃんとしてないと、周りの狼どもに襲われでもしたらどうするの!?」

「いや、緋真の方が美人だし、私を狙う野郎なんて一人も・・・、それに皆いい奴だし・・・」

「何言ってるの!男は皆、猫を被った虎なのよ!?」

いや、それはお前だろ

と、全員が心の中でツッコんだ

もそう思ったが、緋真の剣幕に押され、頷くことしかできない

「と、ところで、緋真。家まで来てどうしたんだ?」

「もー、さんがいいところに連れてってあげるって言ったんでしょ?」

「あ、忘れてた」

怒ったような言い方をしながらも、の頭を撫でているところを見ると、どうやら昔からの友人らしい

日番谷はそう思ったが、ふとあるところで引っかかった

「お前、ソイツを連れて更木まで行く気か!?」

「んなわけあるか!!更木には剣八もいて確かにいいとこだけど、万人にとっていいとこじゃないし!!」

「じゃあ、どこへ行く気だ?(剣八とかいうやつのところじゃねぇのか・・・)」

日番谷は、からは剣八という男のことをよく聞いている。話すたびに言うのはほとんどが褒め言葉で、文句を言ったとしても必ずフォローしているので、日番谷としてはが剣八という男に恋心でも抱いているのではないか、と心配になっていたのだ

「(待てよ。俺が、のことを心配する必要はねぇはずだ・・・)」

何やらぶつぶつと呟き始めた日番谷を見て、は声をかけようかと思ったものの、緋真との約束もあったので家を後にした

 

瀞霊廷

 

別に誰が禁じたわけでもないが、誰も近づかず、誰が近づいたと聞いたわけでもないのに、近づけば瀞霊壁が落ち、運が悪ければ死にいたると言われる。

私は、しょっちゅう近づいてるけどな

と緋真は、どこの甘味屋がおいしいとか、あそこに綺麗な花が咲いたとか、取りとめもないことを話しながら歩いていた

初めは、緋真もと歩調を合わせていたのだが、やがて歩みが止まった

「ん?どした、緋真?」

さん、まさか瀞霊廷に入ろうと思ってるわけでは」

「あったりー!」

満面の笑みで緋真の腕を引っ張るに、緋真は渋々ついていく

死神でないものなら、誰だって瀞霊廷に近づくことを恐れる。だが、誰もが恐れることをやってのけるのがだった

さん、一応聞いておくけど、瀞霊廷に近づけば瀞霊壁が落ちてくるのは知ってるでしょ?」

「うん、知ってる。けど、今日は落ちてこないし」

「それはどういう」

「あ、いたいた!」

緋真の言葉はまたもやにより遮られた

こんなことはいつものことと、緋真はため息をついた

そういえば、さんにひかれたのはいつからだったでしょう。ルキアのことを捨てて、そのことを後悔していたときに彼女はふらりと現れて

「家で菓子を作ったんだけど、作りすぎちゃってさ。一緒に食わないか?」

理由を聞くでもなく、やけに真剣で助けるような表情に思わず私は吹き出してしまって。それからはよくさんに助けてもらって。そういえば、あれから私は成長したのに、彼女は見た目もほとんど変わらない

私の幸せは、さんに出会ってから始まったのでしょうか

「白哉!」

が遠くにいる人物に手を振れば、その人物も気がついたらしく、手を振る

その時、目のいいにしか分からないが、嬉しそうに笑った

「よ、白哉!ちゃんと待っててくれたな!」

「私がお前との約束を忘れたことがあったか?」

「いや、ない」

もし護廷隊の者が見れば、驚くほど顔のゆるんだ白哉。貴族相手に庶民おまけに流魂街の者が、ここまで堂々としていて怒られないのはめずらしい。だから、許されたのだ。

「あ、コイツは友達の緋真」

牽星箝を見て、貴族だと分かり半ばの後ろに隠れていた緋真を引っ張り出す

一瞬、に恨めしそうな顔をしたが白哉の視線を受け、自己紹介をした

「ひ、緋真と申します・・・」

「緋真〜、顔真っ赤」

「う、うるさい!」

、友達ならば、からかうのはやめろ」

このあと、たちは朽木邸に招かれたが、が緋真を白哉の結婚相手にと連れてきていて、緋真がうまい具合に白哉に惚れたのに、満足げな笑みを浮かべていたのはまた別の話

 

 

 

<あとがき>

始めギャグ、あとはほのぼの?的なお話。ま、はためから分かるほど、白哉はにデレデレですね

うちの子は日番谷以外にはやらん!